「そうだ」「ようだ」「らしい」の使い分けと習得―中国語を母語とする日本語学習者を象に―

碩士 === 長榮大學 === 日本研究所碩士班 === 97 === 新しい言語を学習する時、学習者たちはたいてい母語を通して理解しようとする。しかし母語と学習言語は必ずしもぴったり一致するわけではなく、母語だけに頼って外国語を理解していくには限界がある。  学校で日本語を教えるアルバイトをしたとき、後輩たちから「そうだ」「ようだ」「らしい」について質問を受けた。この三つの助動詞は中国語に訳すと、全部「好像」で、どのような違いがあるのかわからないと言うのだ。 「そうだ」「ようだ」「らしい」に関しては多く研究されており、その違いについて、かなり詳しく書かれた文法書がたくさん出版されている。しか...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: LIN CHIA LING, 林佳鈴
Other Authors: 謝逸朗
Format: Others
Published: 2008
Online Access:http://ndltd.ncl.edu.tw/handle/35583165320238929373
Description
Summary:碩士 === 長榮大學 === 日本研究所碩士班 === 97 === 新しい言語を学習する時、学習者たちはたいてい母語を通して理解しようとする。しかし母語と学習言語は必ずしもぴったり一致するわけではなく、母語だけに頼って外国語を理解していくには限界がある。  学校で日本語を教えるアルバイトをしたとき、後輩たちから「そうだ」「ようだ」「らしい」について質問を受けた。この三つの助動詞は中国語に訳すと、全部「好像」で、どのような違いがあるのかわからないと言うのだ。 「そうだ」「ようだ」「らしい」に関しては多く研究されており、その違いについて、かなり詳しく書かれた文法書がたくさん出版されている。しかし、それらの文法書に載っている例文はどれも「好像」一つで訳せるため、母語を通して理解しようとする学習者にとっては、難しい問題となっている。実は中国語でも、「好像」のほかに「看起來」「看樣子」「似乎」「直覺上」などと訳すことができ、それぞれ意味が微妙に異なる。もしこれらの母語を通して「そうだ」「ようだ」「らしい」を説明することができたら、学習する上でかなり楽になるのではないだろうか。 本論では、まず日本語学習者を対象に「そうだ」「ようだ」「らしい」に関する試験を行ない、学習者が間違えやすいのはどの点かを把握する。また、「そうだ」「ようだ」「らしい」に関する書籍や論文や文法書などを蒐集し、整理、分類、分析を行なう。そして、小説に出てくる「そうだ」「ようだ」「らしい」などを含んだ文を中国語の翻訳と比較対照する。 本論は学習者にとって少しでも「そうだ」「ようだ」「らしい」が理解しやすくなり、誤用を避けることができるようにすることを目的とする。