台湾「職業高校」における日本語教育の在り方と高大連携教育の可能性-新民高中応用日文科と六つの大学を例としての考察-

碩士 === 靜宜大學 === 日本語文學系 === 103 === 台湾の後期中等教育機関における日本語教育の歩みは、台北市私立育達商業家事職業高校に「商用日文科」が設立された1986年に始まったが、その四年後の1990年に開設された新民高中応用日文科(旧新民商工商用日文科)は、今日まで台湾の職業高校応用日文科を牽引してきた。そして現在、新民高中応用日文科卒業生の国内大学進学率は95%を超え、その内、80%弱の学生は卒業後も四年制技職体系大学及び一般大学にて継続して日本語を学んでいる。しかし、その一方、後期中等教育機関の日本語教育に対して、学生の<日本語能力の部分欠如>が指摘され...

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Bibliographic Details
Main Authors: Sasaki Yota, 佐佐木陽太
Other Authors: Chiou, Ruoh-Shan
Format: Others
Published: 2015
Online Access:http://ndltd.ncl.edu.tw/handle/c5tqv9
Description
Summary:碩士 === 靜宜大學 === 日本語文學系 === 103 === 台湾の後期中等教育機関における日本語教育の歩みは、台北市私立育達商業家事職業高校に「商用日文科」が設立された1986年に始まったが、その四年後の1990年に開設された新民高中応用日文科(旧新民商工商用日文科)は、今日まで台湾の職業高校応用日文科を牽引してきた。そして現在、新民高中応用日文科卒業生の国内大学進学率は95%を超え、その内、80%弱の学生は卒業後も四年制技職体系大学及び一般大学にて継続して日本語を学んでいる。しかし、その一方、後期中等教育機関の日本語教育に対して、学生の<日本語能力の部分欠如>が指摘されると共に、高等教育機関での日本語教育に対する学生からの不満や、また学生の消極的な<学習態度>に対する教師側からの声も多く上がっている。台湾の複線型教育システムの一方を担う『「職業高校」―「技職体系大学」』の日本語教育において理想的な連携システムを構築するには、職業高校応用日文科の日本語教育状況を深く理解する必要があり、更に<日本語能力の部分欠如>を解消させることが最優先課題である。本稿は、筆者が21年在職している新民高中応用日文科を例とし、日本語教育の現状を考察した上で、<日本語能力の部分欠如>につながる原因解明を行った。本論文は六章にて構成される。第一章では、研究動機及び目的、研究課題、研究方法などについて説明し、第二章では、台湾職業高校応用日文科の歴史を振り返った上で、現況とその課題を探求する。更に、新民高中応用日文科誕生についての考察を行う。第三章では、新民高中応用日文科の戦力分析視点から、日本語教育における現況と問題点を分析すると共に、<日本語能力の部分欠如>がいかなる原因により生じているのかを解明する。第四章では、新民高中応用日文科で三年間の日本語教育を受けた学生の日本語能力到達度を分析するために日本語能力検定の合格率、四技二専入学統一試験日本語科目の得点率の分析、また卒業生の進学状況を詳しく分析、考察する。第五章では、新民高中応用日文科卒業生の主要進学先となっている六つの大学(四技5校+一般大学1校)に進学した学生にアンケート調査を行い、大学での日本語教育における問題点と日本語連携教育の課題を学生の立場から明らかにした上で、第六章では、研究結果をまとめ、今後の課題について述べる。本論文が今後、理想的な『「職業高校」―「技職体系大学」』の日本語連携教育を構築するための参考になることを願っている。