複文の接続形式として用いられる「場合」について―時間表現形式「トキ」との置き換えから―

碩士 === 東吳大學 === 日本語文學系 === 106 ===  本論は複文の接続形式として用いられる「場合」の「トキ」への置き換えにおける意味的相違を明らかにしたものである。調査対象となる例文は「現代日本語書き言葉均衡コーパス(中納言)」およびインターネット検索エンジンを用いて抽出した。両形式の特徴を明らかにするため、置換が不可な場合と、置換が可能な場合に分けて考察を行い、「置換が困難な場合」「置換が可能な理由」「両形式の置換において生じる意味的相違」を述べた。研究結果を以下のようにまとめる。  (1)置換が困難になる条件  「場合」の「トキ」への置換が困難になる条件は、前件の内容が...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: LIN, CHING-HSUAN, 林靖軒
Other Authors: YEH,YI-HSUAN
Format: Others
Published: 2018
Online Access:http://ndltd.ncl.edu.tw/handle/bcc85x
Description
Summary:碩士 === 東吳大學 === 日本語文學系 === 106 ===  本論は複文の接続形式として用いられる「場合」の「トキ」への置き換えにおける意味的相違を明らかにしたものである。調査対象となる例文は「現代日本語書き言葉均衡コーパス(中納言)」およびインターネット検索エンジンを用いて抽出した。両形式の特徴を明らかにするため、置換が不可な場合と、置換が可能な場合に分けて考察を行い、「置換が困難な場合」「置換が可能な理由」「両形式の置換において生じる意味的相違」を述べた。研究結果を以下のようにまとめる。  (1)置換が困難になる条件  「場合」の「トキ」への置換が困難になる条件は、前件の内容が「時間性に欠ける場合」または、「前件が持続している状態の場合」である。「トキ」の「場合」への置換が困難になる条件は、前件が「一回的な事態を表す場合」で、それが「未実現事態を表す場合」または「実現済みの事態を表す場合」である。 (2)置換が可能な理由  置換が可能な理由は「時間性に欠ける場合」と「前件が持続している状態」の間に、「ある時点で発生するかもしれない事態」があるからである。この場合、発生するかどうかは不確かなものの、前件と後件には前後という時間関係が読み取れるため、置き換えが可能になる。 (3)両形式の置換において生じる意味的相違 「場合」と「トキ」のどちらを用いるかによって、文における重点が異なる。「場合」は「前件を後件が発生する前提として捉えることに重点が置かれる場合」に用いられる。「トキ」は「前件が後件の発生する時間を示すことに重点が置かれる場合」に用いられる。 キーワード:複文、「場合」、時間表現、置換、形式名詞